国際的な援助潮流として「水と衛生」は1つのセクターと見なされており、ミレニアム開発目標(MDGs)は、2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生施設(トイレ)へのアクセスを有さない人々の割合を半減することを掲げています。国連、各国の援助機関、NGOによる支援や途上国政府の自助努力によって、安全な水へのアクセスがかなり改善されてきた一方で、衛生施設へのアクセスについては依然として改善が遅れています。途上国における乳幼児の主要な死亡原因は、下痢症が挙げられ、この下痢症の多くは糞便から排出される病原菌の感染によるものであります。途上国における衛生環境改善は、病原菌による地下水や表流水の汚染を防ぎ、飲み水を安全に保つために不可欠なものであります。衛生施設の整備の他に、排便後の手洗いなどの衛生習慣や、給水施設の周りを清潔に保つ、水を運搬・保管する容器を清潔に保つ、食品を衛生的に保つ等、衛生習慣の改善が重要であり、疾病の減少には給水と衛生を同時に改善していくことが極めて重要であると言えます。
このような潮流を踏まえ、我々は、ラオス、セネガル、マダガスカル、モザンビーク、ルワンダ、ブルキナファソにおいて、村落給水と衛生改善を組み合わせた技術協力プロジェクトを実施してきました。これらのプロジェクトにおいては、住民組織による給水施設の維持管理能力強化と併せて、住民に対する衛生行動改善に向けた啓発活動や小学校や保健センターを対象とした衛生普及活動の計画を策定・実施しています。またこれらのプロジェクトでは試験的に複数のモデルの衛生施設を建設し、地元のトイレ建設工の研修、施工業者の選定・工事監理についての技術移転、衛生施設の普及促進活動などを実施しています。
また、技術協力プロジェクトの他に、サブサハラアフリカ諸国における衛生セクターの情報収集調査や衛生セクターの基礎調査なども実施しています。
今後更に、途上国における衛生分野での日本の協力の可能性を検討していきます。